まず、がんが発覚した時点で「どの程度お金が必要になるのか」というのはとても気になりますよね。
がん治療ってとってもお金がかかるイメージがあるけど、実際はどうなのかなぁ…
筆者はがん発覚時、特に多額の貯金があるわけでもなかったのでとても不安でした。
でも、安心してください。
公的医療保険に加入している限り、一度に超高額な費用がかかるようなことはないのです。
高額医療費制度というものがあり、一ヵ月にかかる金額の上限が決まっているためです。
※公的医療保険には日本国民すべてに加入が義務づけられています
なるほど~!
その月にかかる医療費が本来高額であっても一定の金額以上は請求されないんだね!
はい。入院や手術も例外ではありません。
これを踏まえたうえで、筆者がそれぞれどのくらいの金額を支払ってきたのかを紹介していきます。
※あくまでも筆者のケースです。年齢(70歳以上)や収入によって金額は上下することがあります。
高額医療費制度
★高額医療費制度について
高額医療費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額(※)が、ひと月(月の初め から終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。
※入院時の食費負担や差額ベッド代等は含みません。 →厚生労働省保健局より
これはとてもありがたい制度だね!
また、世帯合算や多数回該当により自己負担金額がさらに軽減されるケースがあるようです。
★世代合算について
世帯合算とは、一回分の支払いが限度額を超えない場合でも、同世帯の同保険加入者が支払った自己負担金額を一ヵ月単位で合算し、超えた分は後で戻ってきます。
なるほど。
同じ世帯で同じ保険に加入している必要があるという点に注意だね。
★多数回該当について
多数回該当とは、
過去12ヵ月以内に3回以上の上限額に達した場合には、4回目からはさらに限度額が下がります。
何度も大きな支払いが続いた場合にありがたいね。
ところで、これはどうやって申請するの?
加入している保険に支給申請書を郵送します。
パソコンをつかってオンラインで申請できる場合もあります。
★限度額適用認定証
筆者の場合は申請が承認された後、二週間程度で加入している保険会社から「限度額適用認定証」が送られてきました。
これがあると、医療機関で実際に高額の支払いが発生した場合に、すぐに限度額が適用されるため高額な医療費がかかる入院時までに入手しておくと便利です。
通常は限度額を超えた分のお金は後で戻ってくるけれど、
この認定証があればお会計のときに限度額を超えないようになるんだね!
そうですね。まずはご自身が加入している公的医療保険の詳細を確認してみることをお勧めします。
入院費と手術費
筆者は高額医療の申請を2023/4に実施し、入院・手術ともに4月中に行いました。
退院時の会計で限度額適用認定証を提出したため、自己負担で支払った金額は10万円程です。
さらに、4月に入院や手術以外で通院したときに支払ったお金は、7月に戻ってきました。
このように限度額適用認定証は、高額な支払いが発生するときほど便利です。
とはいえ10万円の支払いすら難しいよ〜
それに認定証の発行が退院に間に合わなかったらどうしたらいいの??
はい。そんなときにはご加入の医療保険から無利息でお金を借りることができる、「高額医療費貸付制度」というものもあるそうです。
ただし、どの医療保険でも利用できるとはかぎりませんので、こちらも加入している医療保険の詳細を確認してみてください。
抗がん剤治療費
よく抗がん剤は高額と聞きますが、なにが高額なのか、医療保険や高額医療費制度は適用されないのか疑問ですよね。
結論からいいますと、服用する薬の種類によって医療保険や高額医療費制度の適用対象になるものと、ならないものがあります。
ひぇ〜〜!!
保険外ということは全額自己負担しなければならないということだよね??
はい。その通りです。
この基準は、対象の薬が国内で承認されているか否かで決まってくるようです。
未承認の薬が処方される場合、全額自己負担となってしまうため支払い額は高額となり、数十万〜それ以上になることも少なくありません。
ご自身が服用する抗がん剤が、医療保険や高額医療費制度の対象かは担当の病院の先生にご確認ください。
これは絶対に確認しないといけないね!
ちなみに筆者は点滴と錠剤の2種類の抗がん剤を処方していただいていますが、どちらの薬も対象となっているため、1クールあたりの点滴の支払い額は約3万円程、錠剤の支払い額は5千円程となっております。
保険
★公的医療保険について
保険には様々な種類のものがありますが、まず、日本国民であれば公的医療保険には全ての方が加入しているはずです。
この保険によって支払いが医療費の3割(1割)の自己負担ですみ、さらに高額医療費制度によって超高額な支払いが発生することが無くなるわけです。
当たり前のように保険に加入して恩恵を受けているけれど、とても便利だよねぇ〜
そうですね。いざという時に最も頼りになりますね。
つぎに、それ以外の保険について少しお話しします。
★民間保険について
こちらは公的医療保険とは異なり、私的な契約に基づき、発生する自己負担金額の補助を受けられるものです。
ただし、支給条件が会社や保険の種類によって様々で、かなりの種類があります。モノによっては病気になってしまったけれども支給条件に当てはまっていなかったため保険が降りなかった等のトラブルもあり得ますので注意が必要です。
筆者は長年(都道府県)民共済に加入しています。支払い額は2,500円/月で、年に一度、割戻金として結構な額が戻ってきます。
入院時は1日あたり15,000円、1度の手術で75,000円が支給されました。
毎回の治療や検査にかかる費用も嵩んでくるからこの支給はありがたいよね。
以上の情報から、実際にがん宣告されてから抗がん剤治療が終わるまでに発生する支払い金額
(3月にがんが発覚してから、だいたい抗がん剤治療が終わる予定の11月までの8ヵ月)
について大体の金額を算出して纏めてみました。
※あくまでも筆者のケースです。実際の収入や診察、検査のタイミングによって金額は変動します。
【支払った金額】
入院・手術…約100,000円
検査、診察…約50,000円
抗がん剤治療…約280,000円
※1クールあたり約35,000円×8回
合計…約−430,000円
ただ、実際には高額医療費の多数回該当が適用される可能性もあるため、もっと少なくなるかもしれません。
つぎに(都道府県)民共済で受給した金額についてです。
【保険受給金額】
入院…225,000円
※15,000円/入院1日あたり
手術…75,000円
合計…+300,000円
全ての治療にかかる金額はこのようになっています。トータルでみると430,000円というのは決して少なくないですが、共済で降りたお金にかなり救われていますね。
筆者は当初、がん治療にかかる金額についての具体的な情報もなく、金銭的不安要素は相当大きいものがありました。
この記事を読んでいただいた方の不安や疑問を少しでも解消できれば幸いです。